ところで信玄を見てくれ。こいつをどう思う?

すごく…弱いです…。島根大学将棋部OBの信玄さんが気まぐれで更新します。

相振り奇襲②

 ばんなりまして。昨日の続きを書いていこうと思います。まず昨日上げた基本図から③▲3八飛の変化です。

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▲3八飛に対して後手は飛車を取るしかないですが、先手は2通りの取り方があります。▲3八同金と▲3八同銀です。順に見ていきます。

 

基本図より▲3八飛△同飛成▲同金△4五桂▲4八玉△5五角▲3七歩(▲2八銀は△5七桂成~△4九飛)△3六歩

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後手の攻めが刺さっています。以下▲5六銀には精算して△4四桂、▲2八銀には△3七歩成▲同桂△同桂成▲同銀△3六歩▲4六銀△同角▲同歩△3七銀・・・。▲1五角がちらつきますが、王手がかかっているため打てません。ならばと▲4八玉にかえて▲5八玉には、△5五角▲3七歩△3六歩▲5六銀△3七歩成▲同桂△同角成▲同金△同桂成▲1五角△4二銀▲3七角△2九飛

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これも後手が良さそうです。次に▲3八同銀です。

基本図より▲3八飛△同飛成▲同銀△4五桂▲5八玉(▲4八玉は▲3八金の変化と同様に攻めてよし。)△3七歩(△5五角は▲3七歩~▲5六銀で精算したあとにはなれ駒がなく苦戦)▲同桂△同桂成▲同銀△2九飛

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これはいい勝負です。どちらを持ちたいかといえば好みで分かれるでしょう。私は後手ですかね。

 さて、最後に基本図から▲3七歩の変化です。ちなみに▲3七歩△3四飛▲5六銀には△7四飛で千日手含みで指しましょう。△7四飛▲6七銀には一旦△6二玉としておいて飛車を振ってくれることを祈りましょう。

基本図から▲3七歩△3四飛▲8八飛△4五桂

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何度目かわからない桂跳ね。狙いは単純で次に△3六歩~△5五角です。先手の候補手としては、▲4八玉・▲4八金・▲4八銀といったところでしょうか。棋書に載っているのは▲4八玉なのでまずはこれからいきます。

上図より▲4八玉△3六歩▲2八銀△5五角▲3八金△3七歩成▲同桂△同桂成▲同銀△3六歩▲4六銀△同角▲同歩△3七銀▲5九玉△3八銀成▲同飛△3七歩成▲1五角△6二玉▲3七飛△同飛成▲同角△3八飛

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長々と進めましたがほぼ一本道です。飛車を下ろした局面ははっきり後手がいいでしょう。ちなみに棋書では△3六歩のところ△3七角成▲同金△3六歩としています。もし本譜と同様に進めると、上図で4六の歩が4七にいることになり、▲5五角と出られます。これでもいいかもしれませんが、本譜に比べると1段落ちます。

 次に▲4八金の変化ですが、まず私の実戦で一番多かった△3六歩に▲同歩の変化を紹介します。

▲4八金△3六歩▲同歩△5五角▲5六銀△1九角成▲4五銀△7四飛▲3七桂△7六飛

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これもほぼ一直線になります。飛車の逃げる位置は7四が大事です。後手は先手の大駒が働かないように気をつけながら指す必要があります。ちなみに上図で▲6五歩には△5五角が厳しいです。これも人によってどちらを持ちたいか変わると思いますが、私は後手を持ってみたいです。

 さて、これまでざっといろんな変化を見てきましたが、後手も面白く戦えることが多かったと思います。局面を見ていればわかると思いますが、後手は飛車角歩桂しか動かしません。先手の方が多くの駒を動かしていることが分かると思います。先手の方針としては駒の損得がなく、自陣に攻め込まれないよう局面をおさめることで、自然に指しやすくなると考えます。ではどうすればいいのでしょうか。

基本図より▲3七歩△3四飛▲8八飛△4五桂▲4八金△3六歩▲3八銀△5五角▲5六銀

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実は△3六歩に▲3八銀で大丈夫です。以下△3七歩成▲同桂に△同桂成には▲5五銀、△同角成には▲4五銀△4八馬▲同玉△3五飛▲4六歩で次がありません。おとなしく桂交換で満足してくれるなら、局面はおさまります。また△4五桂に▲4八銀として△3六歩に▲3八金もあります。が、その場合▲3八の金が浮いているので△3七同桂成を手抜けません。

基本図より▲3七歩△3四飛▲8八飛△4五桂▲4八銀△3六歩▲3八金△5五角▲5六銀△3七歩成▲同桂△同桂成▲同銀

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ちなみにこの局面、△1四歩や△6二玉が入っていると△3七角成で後手優勢です。もし三間が先手で3手目に9六歩をついているとこの受けは成立しません。本譜では王手龍があるため、△3七飛成といきますが▲5五銀で先手がよさそうです。△3四龍には▲5六角、△3二龍には▲6五歩といったかんじでしょうか。

 

 以上2回に分けて相振り奇襲の記事を書きました。昔からの相棒でほんとはもっと書きたい変化がありますが、この辺で自重しておきます。初見で対応するのは非常に難しいと思いますし、実際24では高段者相手に何度も勝たせてもらっています。ただしその結果最後に紹介した変化で、後手つまらない分かれになるようになりました。もしかしたら先手を持って悩んでいた方がおられるかもしれませんが、きっとこれで大丈夫でしょう。堂々と迎え撃って下さい。

 それではまた。